(1)準備をする
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*情報の収集(情報源を徹底的に調べる)
図面入手
(ニュルンベルグ楽器博物館より注文)
20.44 EUR
(手数料込み、2003年8月現在)
Arpeggione, anonymous, 1851.
[drawn by] Esther Fontana-Gat, 1972. Nuremberg:
Germanisches Nationalmuseum. No. MIR 940.
1 sheet. 1 microfiche (1 pict.) [original set].
Germanisches Natuional Museum
Kartausergasse 1, 90402 Nurnberg,
Germany.
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仕様:この図面は、シュタウファー・モデル 1851年製
基本形:
F穴孔、6弦、ハンマー・ヘッド、金属フレット数20
全長:1070mm
胴長:560mm
胴幅:MAX370mm
MINI200mm(C字のくびれ)
弦長:625mm
駒高:95mm
胴厚:均一85mm
表板:スプルース
裏板:カエデR削り
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問題点:
*全体のプロポーションがくびれが極端
*反面、胴尻が下膨れで大きく落ち着かない
*板厚みがチェロ並の4−5.5mmあり厚すぎる
このプロポーションにしては、平均1-2mm全体に削る必要がある。
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*Okumura-model 奥村モデル (テナーとBASS)
ニュルンベルグ楽器博物館の原図では、F字孔でこのサウンド・ホールを製作する技術は当時の筆者には大変そうに思えた。
またこの図面ではフレットが20しかなく、これでは楽曲のすべてに対応した演奏ができそうもない。
そこで24フレットに追加したが、実際指板が丸みをおびていて、これに金属フレットを打ち付ける技術や工具面でも行き詰ってしまった。
他方では、楽器の部材が当時適当なサイズが調達できないことが大きな課題となった。
以上の問題が多数あって、手書きでテナーとBASSサイズを製図したが,、気に入らず長らく放置していた。
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写真:奥村製作 (Jun.03)
Okumura-model
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写真: 奥村製作 (Aug.03)
Okumura-model
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奥村モデルのコンセプト:
Okumura-model
注:図面をご希望の方は有料にて提供いたします。
お名前、ご住所、電話番号、メールなどを、
までお知らせください、
確認後、当方より明細、支払い条件などをご連絡いたします。
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奥村・図面製作
(PC両面で試行錯誤)
(April.04)
Okumura-model
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*金属フレットを調整する
(ポルタメント奏法も可能なように、またフレットによる高音域の狂いを正す方法として、指板に平坦に近づけ、でっぱりをなくす)
*胴体のプロポーションを標準化する
*低音部の深みある音の追求する
(ギターの胴厚みより厚く、110mmほどとした)
*7弦用に改良し、共鳴と倍音を増すようにした
*調弦はミ・ラ・レ・ソ・シ・ミ(E-A-d-g-b-e) + ソGを追加
*全体にボディを厚く、長くし、音の深みを持たせた
*楽器全体を軽くするために、ライニングの厚みを薄くした
*単純なC字穴かF字穴を止め、時代考証をはかり、
変則的なサウンド・ホールを考案した
*サウンド・ホールを縦長にし、ボディの軽量化を実現した
*裏板は2mmほどのバーズアイ・メイプルを接いで、ビオラ・ダ・ガンバ風に平坦にした
*横板はカエデの板目を使用し、強度を計った
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Arpeggione-F字孔モデル (April.04)
Okumura-model
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Arpeggione-C字孔モデル (April.04)
Okumura-model
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基本的な部材・工具調達方法: Okumura-model
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「もくもく」(木場店): 部材
表板=スプルース
側板=カエデ(板目)
裏板=バーズアイメープルの薄板
指板=カエデ、ウエンジ、など
(注:ウエンジの場合、パサついているので、指板に加工するときは表面塗装する必要がある)
アルペジョーネと同時に、BASSガンバ用のためにも多めに購入。
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タツノヤ(恵比寿):
バイオリン・チェロ用工具、ペグ=ビオラ・ダ・ガンバ(テナー)用、スクレーバー、ダイヤル・シックネス・ゲージ(チェロ用キャリパー)、豆カンナ、パフリンク・カッター、リーマなど
当初は代用品で製作していたが、バイオリン、チェロの専用工具がどうしても必要となった。
工具だけはかなり工房のマイスターの近づくことになる。
丸一商店(目白店):
パフリング(グラスファイバー製で弾力がありしなりやすい。黒檀製と強度の点では変わらないし、見た目も大差はない。
ここの店長は、パフリングを古風な二重にしたほうがいいとのお勧めもあったが、1台目の楽器は一重とした)
DIY店(東急ハンズ,、ドイト、など):
四方反カンナ、豆カンナ
電動工具(糸鋸、ドリル、ホールソー、ジグソー)など。
段々と製作していくうちに欲が出てしまい、電動工具の魅力にはまっていく、店にとってはいいお得意さんだ。
古楽器平山工房:
BASSガンバの駒、ローズウッドの指板など調達
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(2)内型・外型を製作する
Okumura-model
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型の製作
MDF材(900x450x9mm) 2枚+胴厚み分のゲタを履かせる。
ギター製作工房仲間はよくこのゲタを厚み分に利用するが、
バイオリン製作仲間からは、ゲタ方式は不評をかってしまう。
電気ドリルにホール・ソーを組合わせて穴を繰り抜く
外型は表裏の剥ぎ合わせに利用
内型は2ケ
外周:BASSサイズのボディ部分
内周(中心部分):TREBLEサイズ用
=TREBLE(ガンバでいうところのソプラノ・サイズ)を
後編で製作しようと計画中。
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(3)内型に側板を取付る
Okumura-model
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写真奥:アルペジョーネ
写真手前:ディビジョン・BASS ガンバ(Henry Jay Model)
両者とも胴長は630mmでほぼ同様。
アルペジョーネの側板は、左右1枚づつでつながりがあるが、C字あたりのクビレをなじませるのがひと苦労だ。
反面、ディビジョン・BASS ガンバの場合、C部分と上下側板の3枚構造となっており、曲げの微調整がかかる。
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横板を貼る
内型の仮組み
金属のボルト、ネジ・シャフト6-8mmを数十本用意して。締め治具(スプール・クランプ)を作成
結構、こうした治具づくりが楽器製作の基本になる
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(4)底板を加工する Okumura-model
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剥ぎ合わせるためのハタ金
(グルーイング・クランプ)を自作
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底板の接ぎ合せ:
裏板用のバーズアイメープルは厚さ約2.5mm
左右の繋ぎ目が合うように、治具2本を製作、相互に斜めかけをする
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補強部材の貼り合せ
補強の横木は先端部を若干削るが、この削り方で音色に違いが出る。
胴体中央部には厚めの横木を貼り、ここに魂柱を受ける
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(5)ブロック、ライニングを加工する Okumura-model
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ブロックの成形
上下のブロックは、円形に削り胴体を軽くする
ライニングの両先端が左右ともにブロックに食い込むよう溝を少し彫る
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ライニングとブロック接合
本来なら木製のハサミを使用するところだが、家庭用のプラスチック製洗濯バサミを代用した
プラスチックの場合、ニカワはかえってつきにくく、また安価で手に入り安く便利だ
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内型(左)を取り出し、胴体(右)のチェックを行う
Ready for the back
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