楽器の製作 (2) : アルペジョーネを復元する(奥村モデル)
Okumura-model


(6)ネックを加工する



ネックのイメージと調整


上:カエデ使用し7弦として、本格的に加工した

下:ツガ(栂)、建材用の柱材で試作

ツガ材で試作してみて、削り方や全体のシェイプなどにチェックをした後、カエデに挑戦した


ネックのヒール部分を取付


胴体側板の厚み分にネックの長さが不足していたので、その部分を踵(ヒール)を補った


ペグボックス、裏に唐草模様の彫刻


音には直接関係はないが、楽器の風采を出すために彫刻した

本来なら中世の時代背景にあった文様をしつらえるところだが、デザインは唐草文様にして日本を意識した

ペグボックスが7弦用に少し長いため、ややヘッド部分が重くなりそうだ


(7)表板を加工する


表板の大まかな切出し

上:BASSサイズ(胴長:630mm)

下:TREBLEサイズ(胴長:370mm)
 サウンド・ホールはC字孔でビオラ・ダ・ガンバ風に変形



表板で表面の削り


表板の成形


裏面の谷底部分の厚みをドリルで開けて標準値とし、段々と周囲の厚みを薄く削る

厚みはチェロとバス・ガンバの数値を参考にした

胴体が広いく削り出しは大変だ





表板の切出し、サウンドホール開け


 ドイツのエステルハージ候が愛したとされるバリトン(Baryton)楽器にちなんで、古風な穴孔を上下に一対づつ開けたてみた

 周囲の評価は、幽霊、火の玉と不評ではあったが、その半面で楽器を軽量化するには役立つかとも思う

 ちなみにシューベルト27才の1824年は、アルペ ジョーネを作曲している
この 年の5ー10月の初めまでハンガリー・ツェリスにあるエステルハージ家の別 荘に招かれ、令嬢の音楽教師として滞在した


 こうした時代背景を考慮して、エステルハージ候のバリトン楽器に類似した穴開けを行った

 参考までに、このバリトン楽器のレプリカは、武蔵野音楽大学楽器博物館(東京江古田校)で観ることができる


表板にパフリング

プラスチックの洗濯バサミを使用したが、周囲が長く半周づつ接着。

パフリング中にバスバーの調整


裏換えして、バスバーを付ける

接着剤のついたサンドペーパーを直に貼り、その上にバスバーを置いてごしごしを馴らすと丸みのついた形状が記憶される


パフリングの出っ張りを整形


グラスファイバー製のパフリングはよくしなるが、そのぶん戻りも多い

そのために表板の厚みにしっかりと埋め込みを施した

当初、中世の時代考証を行おうと、パフリングを二重に巡らそうとしたが、ごてごてしすぎなようで中断した




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