アルペジョーネの演奏法

このページは「アルペジョーネ」の演奏方法、演奏技術などソフトウエアについて研究する。

準備編
アルペジョーネの各部を知る

ヘッド
(頭部)
基本的に6本の弦(ガット弦が理想的)で弾く。
ペグ(糸巻き) ヘッドの両端に6ケ付いている糸巻きで音の調整をする。
ナット ヘッド(ペグボッス)とネックとの境目を指し、弦を固定する。
ネック部 フォンガーボード
(指板)
ネックの表面で湾曲している。
フレット ヘッドから1フレット、・・24フレット。金属棒をフレット・バーと呼びこれを境に音程が変化する。
ポジションマーク 指板上の印を指し、通常5,7,9フレットのようにインレイされる。
ボディ部 サウンドホール 弦の響きがこの穴を通じて胴体に入り共鳴し音が倍増する。C字孔またはF字孔の音穴タイプがある。
ブリッジ(駒) 弦を支え、音が駒を通して表板に伝わる。
テール 弦を留める箇所。弦を穴に差込、固定する。

フレットと音階(名)
開放弦での正調弦は、低音部から高音部へ順に
日: ミーラーレーソーシーミ
   miーraーreーsoーshiーmi
英: EーAーdーgーhーe
独: EーAーDーGーBーE
となる。




調弦方法(チューニング、ハーモニックス)


ナチュラル・ハーモニックス

ハーモニックスとは、各弦のハーモニックス・ポイントに軽く指を触れさせて
得る共鳴音を指す。

これら開放弦を利用したハーモニックスをナチュラル・ハーモニックスという。

ハーモニックスを使ったチューニング



5弦の開放弦を音叉・チューナーなどでラ(A)音にあわせる。

5弦5フレットのハーモニックス音に、4弦7フレットを共鳴させ、あわせる
以下同様に、
4弦5フレットのハーモニックス音に、3弦7フレットを共鳴させ、あわせる

5弦7フレットのハーモニックス音に、6弦5フレットを共鳴させ、あわせる
5弦7フレットのハーモニックス音に、1弦開放弦の実音をあわせる
6弦7フレットのハーモニックス音に、2弦開放弦の実音をあわせる

出典:「はじめてのメロディー・ギター」自由現代社、2003年4月、20p
   「明快ギター入門]、自由現代社編集部、2005年 p.18-19


基本的にはギターの各フレットの音は下図のようになる。

アルペジョーネも全く同様である。(18フレット以降は省略)

出典:「ギター弾き語り入門ゼミ」、自由現代社、1998年12月、p.15より引用




各弦(ストリング)は、2オクターブの範囲をもっており、トータル範囲は22−24フレットの場合で4オクターブとなる。
アルペジョーネの左手(運指)は、ギターそのもの(guitaristical)であり、弓の使用で変化はない。
弓で弾くアルコ(arco)奏法のほかに、指または爪で弾くピッチカート(pizzicato)奏法がある。
ピッチカート(pizzicato)奏法は、縦弾きならば親指を主に使っておこなう。
他方、横弾き(ギターのように楽器を横にして)の場合は右手の親指、その他の指でピッキングする方法も場合によりある。
横弾きにおけるピッキング奏法には、アポヤント奏法とアルアイレ奏法の2種類ある。
 第一に、アポヤント奏法は、弦を引き終わった指が隣の弦に触れて止まる弾き方をいう。
 第二に、アルアイレ奏法は、弦を弾き終わった指がどの弦にも触れないで、手のひらの内側方向(空中)でとまる弾き方をいう。
フィンガーボード(指板)は、基本的に金属フレット(22−24フレット)で仕切られ、固定されている。
しかし、ニコラス デレタイル氏は、ガンバのようにフレットが可変する動く機能の楽器を持っている。
金属フレットのために、グリサンド奏法(glissando)は、ハーフトーン(半音階)の連続で作られる。
アルペジョーネ・スコアは、チェロと同様の音記号により記される。
金属フレットのために、フラゴレット(flagotets)は容易である。
弦は19世紀前期の時代を考慮してガット弦を主に使用する。
調弦の正調ピッチは、A=425 Hzに設定する。曲またはアンサンブルの場合によっては、現代ピッチのA=440 Hzも使用する。

ロー・ポジションとハイ・ポジションについて

 アルペジョーネはギターと同様に音階を色々なところからはじめることができる。
 例えば、ヘッド(ナット)に近いポジション、つまり3フレットからはじまるロー・ポジションがある。
 これに比べボディに近いポジション、つまり8フレットからはじめるハイ・ポジションがある。

演奏の基礎

(演奏スタイル・楽器の構え方と弓の弾き方について)









楽器の構え方
* 演奏スタイル・楽器の構え方

Mr. Gerhart Darmstadt,は、アルペジョーネを股にはさみ、弓はチェロのように下げ構えで縦弾きする。(写真参照)

出典:HMV Japan、Arpeggione Sonata: Darmstadt(Arpeggione) Klepper(Fp) +beethoven, Etc.,
http://info.hmv.co.jp/p/t/1461/288.html より引用


基本的には、チェロ、またはビオラ・ダ・ガンバの縦弾き奏法と同じである。ただし、チェロやガンバよりもサイズがやや小さく、エンドピンがないため正常な位置をキープすることに注意が必要となる。


写真をみるかぎりでは、弓の構えはガンバのようなジャーマン式(逆手)ではないようで、おそらく早いパッセージを弾くにはチェロのような順手式が合っているのだろう。弓の持ち位置は弓根(元)よりすこし先である。



以下、フランツ・シューベルト、アルペジョーネ・ソナタ、[自筆譜ファクシミリより、Vincenz  Schuster(ヴィンセンツ・シュスター)が、記した教則を元に譜面例を抜粋し、筆者が注釈する。

http://gallica.bnf.fr/anthologie/notices/01175.htm


基本的な運弓法

ボーイング
全弓で演奏する場合

下げ弓=ab, 上げ弓=auf



スラーの場合、上げ弓、下げ弓


2分音符の場合、下げ弓、上げ弓


4分音符の場合、下げ弓、上げ弓


付点音符や8分音符など混在の場合、下げ弓、上げ弓


小節にまたがる場合、タイの弾き方


移弦の演奏法 弦と弦を移動する「移弦」について、左指番号を記す。
0=開放弦、1=人差し指、3=薬指を示す。



各弦における
クロマチック・スケール
演奏法
Up scale


Down scale




出典


フランツ・シューベルト、
アルペジョーネ・ソナタ、
[自筆譜ファクシミリ

http://gallica.bnf.fr/anthologie
/notices/01175.htm


 Vincenz  Schuster(ヴィンセンツ・シュスター)が、ウィーンのディアベッリ社から
教則本を出版


上記譜面例は
抜粋
筆者が注釈

下記は、Gultarre-Violoncell, Guitarre D'Amour, Arpeggioneなどの情報が掲載された最初の記事である。

演奏方法、テクニカル運弓奏法などの実際

* 主な演奏方法・ノウハウは、今後順次掲載する。


チェロの奏法については、
・ウェルナー・チェロ教則本(Practical Method for Violoncello)
・Dotzaruer,113 Violoncello-Etuden,Exercises for Violoncello, Klingenberg, Heft I-Book I (No.1-34), Edidion Peterrs,

また、ギターの奏法に関しては、
自由現代社の教本

などを参照する




ベルギーのチェリスト、ニコラス デレタイル氏は、新しいアルペジョーネ奏法を研究されている。
600p以上の大作ときいているが、できたら翻訳したいものだ。

Etude for Arpeggione;A computer generated study for the arpeggione (2001-2003)

a Belgian matematician about a specific experience with the arpeggione:
http://users.belgacom.net/lb/laurent/arpeggione.htm




イギリスのギター奏者 Steve Tilston は、アルペジョーネの調弦(チューニング)について独自の方法を紹介している。

I am interested in finding out more about the arpeggione. Are recordings of this instrument available?
John V. Cady

Painesville, Ohio

The arpeggione was invented by J.G. Stauffer of Vienna in 1824 (he was, incidentally, the employer of a certain young C.F. Martin). It was essentially a bass viol but used the guitar tuning E A D G B E. The neck was fitted with metal frets, rather than gut, and the body was smooth-waisted like a guitar. The sound of this bowed guitar harked back to the music of earlier times and was not easily assimilated into the Romantic era. Franz Schubert named the instrument and composed the only known work for arpeggione still in existence, a lovely piece entitled Sonata in A Minor.
Given the current cross-fertilization of all kinds of music, the arpeggione is a great instrument for the present age. I had one made by guitar maker John Kinkade of Bristol, England. He acquired the plans for building the instrument from a museum in west Berlin.



I pitch mine D G C F A D, a whole tone lower than the guitar. I recorded two albums on the arpeggione, Swans at Coole (Run River) and Of Moor and Mesa (Green Linnet) and have since received a number of letters from people in the U.S., Australia, and South Africa who are interested in building or acquiring their own arpeggiones.
--Steve Tilston


http://www.acguitar.com/issues/ag45/dear45.html



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